2017 年 5 月 17 日更新

21世紀を先導する分野横断的中核技術であるナノテクノロジーは、各界の注目の元に急速かつ着実な進展をみせており、今やその成果の産業応用・社会還元が強く期待されるようになってきています。とりわけ、Quality of Life (QOL)の高い診断・治療技術の確立が強く望まれている医療分野においては、「必要な時に、必要な場所で、必要な診断・治療」を最小限の副作用と最大限の効果で達成するナノテクノロジーに基づく新しい診断・治療システムの創出が待望されています。

我が国は、早期からナノテクノロジー・材料技術の医療応用を進めるナノバイオ分野を重点研究領域として定め、研究拠点の整備等の施策を積極的に展開した結果、DDS、分子イメージング、生体適合材料、医療用 μ-TAS (micro-total analytical system) における学術的ポテンシャルは世界トップレベルに達しています。この様な、我が国が世界をリードするナノテクノロジー・材料技術を基盤とすれば、いつでも・どこでも・だれでも享受できる高効率・高信頼性医療システムを構築する事が出来るはずです。

各種報道でも取り上げられている様に、日本は超高齢・成熟社会に向かって世界の先頭を走り、人類未体験状況を受け入れるための新たな社会システム構築を模索しています。特に医療関連分野は、がん・運動器疾患・循環器疾患などが高齢化に伴い急速に増加し、社会・経済的に大きな問題となっている一方で、高QOL医療への国民的欲求の増大や医療費の増加・医師不足といった課題が顕在化しています。また、産業的な側面からは、医療産業のグローバル化の中で、医薬品・医療機器の極端に不均衡な輸入超過構造となっており、その是正が喫緊の課題であると言えます。

ナノテクノロジー・材料技術を基盤とした革新的診断・治療システムの構築を通じて、上記の課題に対する汎用性高いソリューションが提供され、真の健康サスティナブル社会が実現される事が大いに期待されるところです。一方、学術的な観点からは、ナノバイオテクノロジーを基軸とした医薬工融合分野における人材育成が的確に行われる事によって、将来日本が世界を牽引し、新たなイノベーションを生み出す原動力の蓄積が行われるものと確信しています。

片岡 一則

略歴

片岡一則 カタオカ カズノリ

公益財団法人川崎市産学振興財団 ナノ医療イノベーションセンター センター長
東京大学政策ビジョン研究センター 特任教授

学歴

1974 年
東京大学工学部合成化学科卒業
1979 年
東京大学大学院工学系研究科合成化学専攻博士課程修了、工学博士

職歴

1979 年
東京女子医科大学医用工学研究施設助手
1988 年
東京女子医科大学医用工学研究施設助教授
1989 年
東京理科大学基礎工学部助教授
1992 年
パリ大学(フランス)客員教授
1994 年
東京理科大学基礎工学部教授
1996 年
パリ大学(フランス)客員教授
1998 年
東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻教授
2001 年
独立行政法人物質・材料研究機構生体材料研究センターディレクター(~ 2004 年、併任)
2004 年
東京大学大学院医学系研究科附属疾患生命工学センター教授(併任)
2005 年
東京大学ナノバイオ・インテグレーション研究拠点リーダー
2006 年
日本学術会議連携会員
2008 年
グローバル COE「学融合に基づく医療システムイノベーション」リーダー
2008 年
ミュンヘン大学(ドイツ)客員教授
2009 年
最先端研究開発支援プログラム中心研究者
2010 年
浙江大学(中国)客員教授
2011 年
日本工学アカデミー会員
2012 年
四川大学(中国)名誉教授
2013 年
センター・オブ・イノベーションプログラム「スマートライフケア社会への変革を先導するものづくりオープンイノベーション拠点(COINS)」研究リーダー
2014 年
日本学術会議会員
2015 年
公益財団法人川崎市産学振興財団 ナノ医療イノベーションセンター センター長
2015 年
ノースカロライナ大学チャペルヒル校(アメリカ)薬学部教授(非常勤)
2016 年
東京大学政策ビジョン研究センター特任教授
成均館大学 Biomedical Institute for Convergence at SKKU(韓国) センター長

主な表彰

1993 年
日本バイオマテリアル学会賞
1999 年
フェロー表彰 : American Institute of Medical and Biological Engineering (AIMBE)
2000 年
高分子学会賞
2004 年
フェロー表彰 : International Union of Societies for Biomaterials Science and Engineering (IUSBSE)
2005 年
Clemson Award : Society for Biomaterials
2006 年
Barré Award : Nanobiotechnology-based Pharmaceuticals (University of Montreal, Canada)
2006 年
Latta Lectureship Award : Nanobiotechnology-based Pharmaceutics in the Medical Frontier (University of Nebraska Medical School, USA)
2008 年
Founder’s Award : Controlled Release Society
2009 年
NIMS Award : 物質・材料研究機構
2010 年
文部科学大臣表彰科学技術賞
2011 年
Distinguished Lectureship Award (University of Waterloo, Canada)
2012 年
フンボルト賞 : Alexander von Humboldt財団
片岡一則教授がフンボルト賞を受賞
2012 年
江崎玲於奈賞
片岡一則教授が江崎玲於奈賞を受賞
2014 年
高分子科学功績賞
Lifetime Achievement Award(Journal of Drug Targeting)
In honour of Professor Kazunori Kataoka, recipient of the Journal of Drug Targeting's Life-time Achievement Award for 2014
2015 年
Gutenberg Research Award
2015 - Prof. Kazunori Kataoka and Prof. Kwok Pui Lan
▶ ChemistryOpen:Gutenberg Research Award Goes to Kataoka
▶ ChemMedChem:Kazunori Kataoka Receives Gutenberg Research Award
▶ YouTube: Gutenberg Research College welcomes new members and bestows the 2015 Gutenberg Research Award
Louis W. Busse Lectureship Award (University of Wisconsin Madison, USA)
2016 年
米国工学アカデミー(NAE) 外国人会員
H. C. Brown Lectureship Award (Purdue University, Indiana, USA)

主な学会活動

2004 - 2006
日本バイオマテリアル学会会長
2004 - 2010
遺伝子・デリバリー研究会会長
2007 -         
日本 DDS 学会 理事
2010 - 2012
高分子学会会長
2012 - 2013
Controlled Release Society 会長

主な学術誌の編集等

Editor
Journal of Biomaterials Science, Polymer Edition
Member of the
Editorial Board
Journal of Controlled Release (Controlled Release Society), Biomacromolecules, Science and Technology of Advanced Materials, Journal of Drug Targeting, Advanced Drug Delivery Reviews, Materials Science & Engineering C, Journal of Materials Sciecnce: Materials in Medicine (European Society of Biomaterials), International Journal of Nanomedicine, Biomaterials
Member of the Editorial Advisory Board
AAPS Journal (American Association of Pharmaceutical Scientists)
Soft Matter (Royal Society of Chemistry)
ACS Nano (American Chemical Society)
ChemMedChem
Nano Today

専門領域

ナノバイオマテリアル、特に薬物・遺伝子デリバリー用材料