スライムとiCONMのフシギな関係
~ケミカルサージェリー~
ホウ素に「熱中性子線」というビームを当てると、
「アルファ線」という強い放射線がでます。
だから、ホウ素をがんだけに届けることができれば、
からだの外からそこに熱中性子線を当てて、発生するアルファ線が、
からだの中のがん細胞だけをやっつけてくれます。
このときホウ素をがんに届けるのが、iCONMで研究するナノマシンです。
この仕組みを使えば、手術の際にからだを切る必要がないので、
からだへの負担が軽くなります。
これを最近では「ケミカルサージェリー」と呼んだりします。
~スライムのはたらき~
ホウ素はとても水に溶けやすいため、がん細胞に届いても
すぐにおしっこと一緒にからだの外へ流れ出てしまいます。
これでは、ちゃんとした治療ができませんね。
ここでスライムの登場です!
スライムは、ホウ砂(ホウ素化合物)と洗濯のりを混ぜると簡単に作れます。
スライムの中で、ホウ素は洗濯のりの主成分PVA(ポリビニルアルコール)と
しっかり結びついている状態です。このため、
スライムをナノマシンに搭載してがん細胞に届けると、
ホウ素は、がん細胞から簡単に抜け出すことはできなくなります
(スライムって、ぷよぷよしていて、水みたいにさらさらしていませんよね)。
ホウ素ががん細胞にとどまっているところに熱中性子線を当てることで、
治療の効果が上がるんです。
放射線というとちょっと怖いイメージですが、
アルファ線は細胞の外に出ることができないので、
ホウ素を取り込んだ細胞内だけで発生します。
細胞の中だけの、とっても小さい世界での話なんです。
スライムは夏休みの自由研究などでもよく使われますが、
これががん治療に使われるなんて、考えたことがありますか?
色々な知識や経験が、どんなところで役に立つか分かりませんね。