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2/18(金) 看民工連携シンポジウムを開催しました
2月18日:看民工連携シンポジウム『~インクルーシヴなスマートライフケア社会を築く看民工学~』がオンラインで開催され、関係者合わせて約100名の参加者が聴講しました。
総人口に対する高齢者(65歳以上)割合が40%近くにまでなるとされる近未来において、「すべての人々が病を気にしないで暮らせる社会」の実現を目指す iCONM では、健康を体内から見守る「体内病院」に加えて、病人のみならず病前病後の方々も、健常人もケアできる科学技術(看民工学*)の創出を企画しています。
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講演1では、菱山 豊先生(徳島大学副学長)より、高齢者ケアのみならず若い世代の健康を守ることの必要性を学びました。また、荒木田美香子先生(川崎市立看護大学・副学長予定者)からは、看護業務や看護師の分類についてのお話に続き、看護職におけるニーズについてご紹介がありました。続いて登壇した鈴木 毅・当財団専務理事からは、財団が行う中小企業やベンチャー、スタートアップの支援についてご紹介させて頂き、看民工学に基づく事業設立を奨励しました。
福祉産業や介護産業と比べてハードルが高いとされる看護領域の産業化においては、看護領域から荒木田先生に加えて、八木美智子先生(川崎市看護協会副会長)が、また排尿ケアが患者の転倒やベッドからの転落を減らすために重要だという看護師の声をベースとして簡易的な膀胱内尿量センサーを商品化した㈱リリアム大塚の白﨑 功社長、看護師の声が病院設計に最も重要と言う㈱日本設計の高橋正泰専任部長、そして菱山先生を加えた5名が登壇したパネルディスカッションを開催しました。
終わりに、三浦淳・当財団理事長より総括として、看護とテクノロジーの連携が進み、すべての市民が暮らしやすい社会が実現することを多くの方々と協力して取り組んでいきたいとシンポジウムを結びました。 膨大で多岐に渡る看護師の職務は「手と目で看る」という「看」の一字が伝統的に受け継がれており、なかなか工学の力を借りるという発想は生まれませんでした。しかし、それが看護師の重労働を招き、離職の原因ともなっているので、今後はもっと他領域との連携が必要とのことで一同意見が一致しました。今後は、企業にも積極的に参画いただき、また利用できそうな科学や技術を持つ大学研究者が評価データを取る場を設けるという意味で、看護職の皆さまとの共創を推進する「看民工学勉強会」を立ち上げる予定です。
*看民工学:病人を看る「看病」でなく、すべてのステージで人々を看るという意味の「看民」という新語をあてました。「看民工学」は現在、商標登録出願中です。
左【荒木田美香子氏(川崎市立看護大学・副学長予定者)】 右【一木隆範氏(東京大学大学院工学系研究科 教授)】
【総括 三浦淳(産業振興財団理事長)】