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第3回 iCONM 市民公開講座「認知症ケアと看民工連携への期待」を開催しました。

2022年3月6日(日)ナノ医療イノベーションセンター (iCONM) は、第3回市民公開講座を開催しました。今回は、認知症をテーマに医療とケアの現状を視聴者の皆さまにお伝えしました。
認知症は現在の医療で治すことの難しい疾患です*。2025年には、65歳以上の2割が認知症を罹患するとされ(内閣府・平成28年版高齢社会白書)、また、現状のままであれば、高齢化率の更なる増大に伴い、今後、罹患者数が増加の一途を辿ることが予想されます。進行は抑えられても、有効な治療法が無い現在において、認知症になっても暮らしやすい社会の構築は、人々の健康ライフを考えると大変重要であり、厚生労働省も「認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる<共生>を目指す」と「認知症施策推進大綱(令和元年6月)」で謳っています。

「病気にならない」でなく「病が気にならない」社会を目指そうという片岡一則 iCONMセンター長の挨拶に続き、戸須眞理子氏(ブレイゾン・セラピューティクス取締役会長)からは、脳内に選択的に薬剤を届けるための意義と、それを可能とするナノマシンによる先端技術が紹介されました。続いて登壇した山川みやえ先生(大阪大学大学院医学研究科老年看護学・准教授)は、認知症になっても暮らしやすい社会を構築するには、周囲の人たちがもっと認知症について知り、困っている人を見かけたら助けてあげられるカルチャーが必要だと述べ、そのためのコミュニケーションアプリなど科学技術の介入が不可欠であることを示唆しました。
パネルディスカッションでは、まず、北薗久雄先生(川崎市立川崎病院・認知症疾患医療センター長)から昨年8月に開設された認知症疾患医療センターのご紹介と医学的立場で認知症とは何かについてご説明頂きました。認知症の中には治せるタイプのものもあるので、それを見逃さないことに気を付け、それ以外のタイプの場合でも診断後のケアはしっかりと行う方針とのお話がありました。次に、荒木田美香子先生(川崎市立看護大学・副学長予定者)から地域包括ケアにおける大きな課題である認知症にしっかりと向き合える看護師の育成を目指したカリキュラムについてと、看護業務への科学技術の必要性についてお話がありました。そして、舟田 彰氏(川崎市立宮前図書館・課長補佐)からは、認知症の方々にも気楽に図書館を利用してもらい読書を楽しんで頂くための施策について、実例を踏まえながらご紹介頂きました。
最後に、一木隆範先生(iCONM主幹研究員・東京大学大学院工学系研究科教授)から、ケアの領域における更なるニーズを探り、それに応えられる科学技術の創出が今求められているという現実に直面し、今後、看民工連携を促進するとの言葉で会を〆ました。

*タイプによっては治るものもあります。

ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

【片岡センター長からの挨拶】

【パネルディスカッションの様子】

左上【舟田 彰 氏 川崎市立宮前図書館 課長補佐】  
右上【島﨑 眞 iCONM/COINS コミュニケーションオフィサー】
左中【荒木田 美香子 先生 川崎市立看護短期大学 教授】
右中【北薗 久雄 先生 川崎市立川崎病院認知症疾患医療センター センター長】
左下【戸須 眞理子 氏 ブレイゾン・セラピューティクス取締役会長】
右下【山川 みやえ 先生 大阪大学大学院医学系研究科老年看護学研究室 准教授】

【一木主幹研究員より閉会の言葉】

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