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スペイン・カタルーニャ国際大学と留学生受け入れに関する覚書を締結し、当センターでインターンシップ生が研究を行っています。
2022年4月、当センターとスペイン・カタルーニャ国際大学(以下、UICバルセロナ)は、交換学生、学術・研究分野での交流を目的とした覚書を締結しました。かねてより、当センターのSabina Quader主任研究員とUICバルセロナのRosalía Rodríguez-Rodríguez准教授は、二国間交流事業(JSPS)やAMEDプロジェクトで共同研究を進めており、現在、脳内に選択的に取り込まれ、末梢組織での脂質代謝を促進することで肥満を改善するナノマシンの研究開発を共同で行っています。今後も共同研究を加速させ、強い連携を継続すべく今回の協定締結が実現いたしました。
また、共同研究の一環として、UICバルセロナより研究チームの一員であるJesús García氏が5月よりインターンシップ生としてiCONMにて研究に参加しています。Rodríguez准教授より下記のとおりコメントをいただきました。
Dr. Quaderの下でインターンシップを行うことで、iCONMでのナノテクノロジー分野の実験だけでなく、国際的な雰囲気の中で独立した研究者としての成熟度を身につけるという意味でも重要なスキルを達成することができます。インターンシップ期間中はDr. Quaderのような著名な専門家と共に、特定の脳細胞を標的とした高分子ナノ医薬品の開発に取り組む機会を得ることができます。Garcia氏の滞在は、過去3年間のiCONMとUICバルセロナの協力関係を強化し、現在の日本-スペイン二国間プロジェクトを進展させるとともに、両機関間の将来の共同研究に対する新しいアイデアをもたらすためにも重要なことです。
以下にて、Jesús García氏からのメッセージをご紹介します。
私は、バルセロナ大学を卒業した生物工学者で、初期の研究テーマは「タンパク質の構造機能性と予測」です。ヘルシンキ大学のCarl Gahmbergの研究室で、神経細胞接着タンパク質ICAM-5の異なる変異が、シナプスの成熟に重要なプロセスであるインテグリンとの相互作用にどのように影響するかを研究し、学士論文を提出しました。
その後、ナノテクノロジーとドラッグデリバリー、また、それらのがんや遺伝病への応用に興味を持つようになりました。ナノテクノロジー修士論文では、Institut de Química Avançada de Catalunya (IQAC) にて、5'-Fluorouracyl (5'-FU) -conjugated G-quadruplexes というナノキャリアの開発に従事しました。このキャリアは、遊離5'-FUよりも細胞毒性が改善されており、大腸がんの治療において興味深いツールとなる可能性を秘めています。生物医学研究の修士論文では、Institut Josep Carrerasに勤務し、成人T-Acute Lymphoblastic Leukemiaにおける再発の可能性を特定する診断遺伝子パネルを開発しました。
現在、カタルーニャ国際大学で博士課程に在籍し、iCONMと抗肥満薬を中枢神経系に送達できる高分子ナノ粒子の開発で共同研究を行っています。この共同研究の一環として、ナノメディシン関連の技術を学び、スペインと日本の研究の関係を強化することを目的として、現在iCONMに研究滞在しています。
【当センターのエントランスにてJesus氏】
新型コロナウイルスの影響により、Jesus氏の受け入れ実現に2年を要しました。2か月という短い期間ですが、共同研究の加速と共に、Jesus氏にとって有意義なインターンシッププログラムとなることを心から願っています。