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iCONMからの人材輩出④
iCONMのようなオープンイノベーション研究施設では、多様性に基づくイノベーションの創出とともに、異文化との交流による人材成長が促され、幅広い視野と、融合された専門性を持つ人材が輩出されています。このシリーズでは、その一例をご紹介していきます。第4回目は、メキシコ出身のGonzalez Carter博士を紹介します。彼は、イギリス・ロンドンのImperial Collegeから2017年に来日し、iCONM片岡・喜納ラボで博士研究員を務めました。臓器特異的なタンパク質をビオチンで標識し、外殻をアビジンで修飾したナノマシンを投与することで、ビオチン-アビジンの結合力を利用し、ナノマシンを狙った臓器に届けるという仕組みを考案しました。下述のPNAS(米国科学アカデミー紀要)に掲載された論文では、脳血管に多く発現しているPECAM1というタンパク質に着目し、PECAM1の抗体にビオチンを結合させたものを投与。その後、アビジン修飾ナノマシンを投与することで脳血管への薬剤集積を実証しました。現在はスペインの研究機関でプロジェクトリーダーを務めています。
D. Gonzalez-Carter et al., PNAS, 117 (32), 19141-19150 (2020).
https://doi.org/10.1073/pnas.2002016117
家族とバルセロナの街で
Dr. GONZALEZ CARTER Daniel Angel
出身: 英国 Imperial College London
滞在期間: 2017 – 2020
ポジション: Post-Doctoral Researcher
研究テーマ: Delivery of nano-therapeutics to the brain
現在: スペインInstitute for Bioengineering of Catalonia
(IBEC) Junior Leader Research Fellow
若手研究者へのメッセージ
Moving to Japan was one of the best experiences I have had in my life, both in professional and personal terms.
iCONM is really one of the best nanomedicine institutions in the world. My research progress was greatly enhanced by the cutting-edge facilities I had at my disposal; from chemical synthesis, to cell work, to validation in animal models. Having all of this under one roof really simplified my workload and allowed me to concentrate on the important aspects of my research.
Living in Japan, experiencing such a different culture from my own, was truly stimulating. Even the small things, such as going to the supermarket, were never boring. Besides that, living in such a safe country made life with my young children very easy. I always felt safe letting them run around on their own in the parks and exploring our neighbourhood.
日本への移住は、仕事でもプライベートでも、私の人生で最高の経験のひとつでした。
iCONMは、世界でも有数のナノ医療の研究機関です。化学合成から細胞を用いた研究、疾患モデル動物での検証まで、自由に使える最先端の設備によって、私の研究は大いに進展しました。これらすべてが一つ屋根の下にあることで、私の仕事量は大幅に軽減され、研究の重要な面に集中することができました。
日本での生活では、自分とは異なる文化を経験することができ、本当に刺激的でした。スーパーマーケットに行くといった小さなことでさえ、退屈することはありませんでした。また、治安の良い日本での生活は、幼い子どもたちとの生活をとても楽にしてくれました。公園で走り回らせたり、近所を探検させたりしても、いつも安心していられました。
日本滞在中、一番の思い出
Apart from the birth of my children, one of the best memories of my stay in Japan was losing my wallet. While this may not sound like such a fond memory in itself, it was such a huge relief when I received a notification from the police station telling me someone had handed it in, and not a single coin was missing.
子供の誕生を除けば、日本滞在中の最高の思い出は、財布をなくしたことです。それ自体はあまりいい思い出ではないかもしれませんが、警察署から「誰かが財布を届けてくれた」との連絡が入り、硬貨1枚も無くなっていなかったことに、とてもホッとしたことを覚えています。