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第31回Cross Cultural Eventを開催しました
10月31日、iCONM職員、施設利用者、川崎市および産業振興財団関係者を対象に、Cross Cultural Event(異文化交流会)を開催しました。
今回は特別回として、量子科学技術研究開発機構(QST)の青木伊知男・上席研究員を講師にお迎えしました。青木先生は、MRI研究の世界的権威として知られていますが、鍼灸師の免許をお持ちで、針の効果を探るためにMRIを使っていたら、徐々にそちらの道に惹きづりこまれてしまったという経緯をお持ちです。今回は東洋医学の世界から、現在のナノ医療や画像診断の研究者に至るまでのご自身のキャリアパスとともに、QSTについてご紹介いただきました。
まず、青木先生が所属されている量子科学技術研究開発機構(QST)についてご紹介いただきました。QSTは2016年に千葉市に設立され、現在、国内に6つの研究拠点を有しています。医療分野においては、千葉市にある本部にて重粒子線によるがん治療を行っており、並行して生体イメージング、放射線生物学、量子生命科学などの研究も進められています。
続いて、これまでの研究歴についてお話しいただきました。青木先生は、新しい造影剤やMRA技術を用いた機能イメージングに関心を持ち、アメリカ国立衛生研究所(NIH)にてマンガンイオンを用いて脳の機能変化を可視化し、MRIにおける機能染色の概念を提唱しました。その後日本に戻った際には、片岡センター長をはじめとするナノ分野の研究者と出会い、ナノ粒子とMRA技術を組み合わせた研究を始めました。この革新的な研究は、異分野の研究者同士が対面で議論する中から生まれたものだそうです。
最後に、東洋医学や鍼灸との出会いについて語っていただきました。高校生の頃、科学書を読み進める中で、東洋医学や鍼灸の科学を扱った書籍に出会い、その中にあった「鍼を打つと、脳内でβエンドルフィンという薬のような物質が放出される」という一文に強く惹かれたことがきっかけで、それまで志していた天文学から一転し、京都郊外にある明治鍼灸大学へ進学されたそうです。当時は、東洋医学そのものよりも、生理学や生物物理学に強い関心を抱いており、研究室もそれに基づいて選択されたとのことでした。
質疑応答では、参加者から多数の質問が寄せられました。鍼灸に関する質問に対して、鍼灸師の技量差や美容鍼の科学的検証など、今後の課題を絡めてご回答いただきました。また、痛みの研究と免疫研究の融合が進んでいることや、肌の活性化において毛細血管が重要な役割を果たしていることなど、大変興味深いお話を伺うことができました。今回、異分野交流から革新的な研究が生まれた好例をご紹介いただきました。今後も本イベントを継続的に開催し、異分野交流の機会を創出していきます。







