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iCONMからの人材輩出③
iCONMのようなオープンイノベーション研究施設では、多様性に基づくイノベーションの創出とともに、異文化との交流による人材成長が促され、幅広い視野と、融合された専門性を持つ人材が輩出されています。このシリーズでは、その一例をご紹介していきます。第3回目は、中国から来日した Junjie Li 博士を紹介します。彼は、がん細胞が転移する際に産生するMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)と呼ばれる酵素に着目し、高分子ナノミセルに結合した抗がん剤が MMP により切り離されるメカニズムを持つ抗がん剤搭載ナノマシンを開発しました。その結果は、昨年Advanced Materials* で論文発表されています。
*掲載論文:”Enzymatically Transformable Polymersome-Based Nanotherapeutics to Eliminate Minimal Relapsable Cancer”, J. Li, et al., Advanced Materials, 33(49), 2105254 (2021).
https://doi.org/10.1002/adma.202105254
静電気と戯れるJunjie
Dr. Junjie Li 李軍傑
出身:中華人民共和国安徽省
学位:中国科学技術大学
iCONMでの滞在期間:2017 – 2022
ポジション:博士研究員
研究テーマ:がんの転移メカニズムを利用した抗がん剤搭載
ナノマシンの創生
現在:九州大学先導物質化学研究所 特任准教授(田中研究室)
https://www.soft-material.jp/home-e
若手研究者へのメッセージ
I have to say that I had a great time and felt very relaxed in iCONM during these five years. We feel that everything is like family here. We can get a lot of help from iCONM member and management office. We don’t need to worry about the life, particularly for foreign people.
In the field of nanomedicine, I believe iCONM already has the very good advanced facilities in the world. If needed, we may collaborate with many other research institutions and universities to ensure the access to the other advanced facilities. The whole research team is organized based on multiple fields. We have chemist, materials scientist, and biologist. Very importantly, we also have a lot of clinicians participating our research. So, from the starting, we already can know we should do what kind of research for serving society and serving the patient. The research team is very international. The researchers from different countries bring distinct thoughts for creative work. The support team is also very helpful and impressive. Everything is organized nicely and ready for the research. The only important thing is we should make our brain active.
Based on such advanced facilities, multidisciplinary and international researchers, and effective support team, I want to say “we are so lucky that everything is ready for creative work. We have to get more clear evidence for the fundamentals of nanomedicine and finally get more real products for the patients”.
この5年間、iCONMでは素晴らしい時を過ごし、とてもリラックスして過ごせたと言わざるを得ません。ここではすべてが家族のようなものだと感じています。iCONMのメンバーや運営事務局から多くの助けを得ることができました。特に外国人が生活をする上での心配はありません。
ナノ医療の分野では、iCONMはすでに世界でも非常に優れた先端施設を持っていると思います。必要であれば、他の研究機関や大学と連携して、他の先端設備へのアクセスを確保することも可能です。研究チーム全体は、複数の分野に基づいて組織されています。化学者、材料科学者、生物学者がいます。非常に重要なのは、多くの臨床医が研究に参加していることです。ですから、社会に貢献し、患者さんに奉仕するために、どのような研究をすべきかは、最初からはっきりしているのです。研究チームは非常に国際的です。さまざまな国から来た研究者が、それぞれ異なる考えを持ち寄り、創造的な研究を行っています。また、サポートチームも非常に親切で印象的です。すべてがうまく整理され、研究のための準備が整っています。重要なのは、脳を活性化させることです。
このような先進的な設備、学際的で国際的な研究者、効果的なサポートチームから、私は「創造的な仕事をするために必要なものがすべて準備されていることはとても幸運なことだ」と言いたいのです。私たちは、ナノ医療の基礎について、より明確な証拠を得て、最終的に患者さんのために、より多くの実製品を手に入れなければなりません」。