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研究の実施状況

　サブテーマ1では、マイクロRNA（miRNA）の蛍光並びに電位計測方式における検出感度の向上、体液前処理要素と検出要素の集積化技術の確立など、早期がん診断デバイスの実現に向けて重要な成果を得た。また、１粒子分析技術を開発し、担がんマウス血液からがん細胞由来エクソソームの同定に成功する等miRNAの高精度分析に繋がる成果を得た。
　サブテーマ2では、がんの低pH環境に応答するMRI診断用Mn内包リン酸カルシウムミセルを開発し、がんの微小肝転移をMRIにより描出することに成功した。抗がん剤およびsiRNA内包ナノデバイスに関しては、膵臓がんの自然発生モデルの標的治療に成功した。また、ペプチドリガンド搭載ミセルの難治脳腫瘍に対する有効性をin vivoで実証し、胆汁排泄の促進による毒性の軽減効果など新たな知見も確認された。さらに、臨床への展開においては、パクリタキセル内包ミセルが臨床試験の最終段階である第３相に進み、薬剤としての承認への道筋が明確化された。さらに、中空型ナノデバイスについては、固形がん局所における送達酵素の活性を実証し、酵素プロドラッグ療法としての有用性を確認した。
　サブテーマ3では、光増感剤搭載ナノデバイスによる固形がんの光力学治療（PDT）を実施し、その有効性を明らかにするとともに、ラット膀胱がん同所移植モデルにおいて、均質光照射システムとの組み合わせの有効性を明らかにすることができた。さらに、機器開発として光・超音波のナビゲーションシステムの開発や、SDTのための超音波照射条件の最適化を行った。
　サブテーマ4では、組織再建用インプラントデバイスに関して、組織再建用生理活性物質の候補の選定と動物モデルでの検証、試作デバイスにおける生理活性物質の効率的な徐放を確認した。一方、軟組織欠損用インプラントについては、髄核欠損モデルウサギを用いて、その有効性の検討を開始した。

助成金の使途